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よくあるご質問
- 変形性膝関節症とはどのような病気ですか?
- 膝の関節軟骨がすり減り、骨同士がぶつかることで炎症や痛み・変形が起こる病気です。進行すると関節が変形し、歩行や階段の昇り降りがつらくなることがあります。 また、近年では「軟骨のすり減り」だけでなく、軟骨の下の骨(骨髄病変:BML)が痛みの主な原因であることも分かってきています。
- どんな人がかかりやすいですか?
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• 加齢による軟骨の摩耗
• 肥満や立ち仕事による過度な負担
• O脚・X脚など関節のアライメント異常
• スポーツやケガの既往
• 骨粗しょう症による骨の弱化
特に中高年の女性に多く、50歳以上の約半数に変形性膝関節症の所見がある と報告されています。 - どのような症状がありますか?
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• 歩行や立ち上がりの際に痛みを感じる
• 膝に腫れや熱っぽさを感じる
• 動かすと「ゴリゴリ」「ミシミシ」と音がする
• 曲げ伸ばしがしづらくなる
• 進行するとO脚変形が目立つ
痛みの原因として、骨の中の炎症(BML)が関与しているケースも多く、MRI検査での評価が重要です。 - どのように診断されますか?
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1. 問診・触診・関節の動きの確認
2. レントゲン検査:関節の隙間の狭さや骨の変形を確認
3. MRI検査:軟骨下骨やBML(骨髄病変)の有無を確認
MRIで白く映る「BML」が見つかる場合、痛みの原因が骨内部の炎症であることが分かります。
どのような治療法がありますか?
- 🩺 保存療法(初期〜中期)
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• 鎮痛薬・抗炎症薬
• ヒアルロン酸・PRPなどの関節内注射
• 運動療法(大腿四頭筋トレーニング)
• 体重コントロール
• サポーターや杖の使用
➡ 軽度の方は、生活改善と保存療法で進行を抑えられる場合があります。 - 💉 再生医療・低侵襲手術(中等度〜重症例)
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保存療法で改善しない場合は、骨内部の修復を目的とした治療が有効です。
Rejoint surgery(リジョイントサージャリー)
骨髄病変(BML)や骨壊死部に対して、iPSエクソソーム・成長因子・β-TCP人工骨を注入し、骨の再生を促進します。関節を削らず、日帰りで行うことができます。
Rejoint surgery+(プラス)
関節の土台(骨)を修復するRejoint surgeryに加え、関節内に幹細胞を注射し、軟骨の再生もサポートする治療です。骨と軟骨の両方を再生する「理想的な関節温存治療」とされています。 - この病気は治りますか?
- 軟骨が完全に失われた場合は自然に元通りにはなりませんが、 早期にBMLを治療し、骨の炎症を抑えることで進行を止めたり、痛みを軽減することが可能です。 再生医療を併用することで、人工関節を避けられるケースも増えています。
- Rejoint surgeryの手術は痛いですか?
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手術は局所麻酔やブロック注射または脊椎麻酔で行い、手術中の痛みはほとんどありません。
皮膚の切開は約1cmと小さく、出血もほとんどありません。
術後は一時的な腫れや筋肉痛を感じることがありますが、数日で軽快します。 - 入院は必要ですか?
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いいえ、入院の必要はありません。
Rejoint surgeryは日帰り手術で、術後数時間の安静後に歩行確認を行い、当日中にご帰宅いただけます。 - 手術時間はどのくらいですか?
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麻酔を含めて全体で約1時間前後です。
実際の手術手技は10分程度で終了します。 - 手術後の生活について教えてください。
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• 手術翌日から歩行可能(負荷は段階的に増やします)
• シャワーは翌日から可能(傷にはフィルムを貼って10日目にご自身で剥がし ていただきますので抜糸不要です)
• 激しい運動は3ヶ月程度控えてください
• MRIで骨再生を確認しながら経過を見ます - 飲酒・喫煙はいつから可能ですか?
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手術後1週間程度は控えていただくのが理想です。
喫煙や過度の飲酒は骨再生を妨げる可能性があるため、医師の指示に従ってください。 - 再生医療は誰でも受けられますか?
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MRIで骨髄病変(BML)や骨の炎症が確認された方が対象です。
関節変形が進行しすぎている場合(末期変形性膝関節症)は、人工関節置換術をおすすめする場合もあります。
まずはMRI診断で、骨の状態を詳しく確認することが大切です。 - 保険は使えますか?
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再生医療・Rejoint surgeryは保険外診療(自由診療)となります。
費用は症例や範囲により異なりますので、診察時にご案内いたします。 - 最後に
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変形性膝関節症は「年齢のせい」と思われがちですが、骨の中の炎症(BML)を治療することで、痛みを根本から改善できる可能性があります。
人工関節の前に、まずはMRIで「骨の状態」を確認し、再生医療という選択肢を検討してみてください。
このFAQは、変形性膝関節症ガイドライン2020(日本整形外科学会)および 当院で行っているRejoint surgeryの臨床経験をもとに構成しています。