BML(Bone Marrow Lesion)=骨髄病変とは、骨の内部(骨髄)の一部に**炎症や損傷、浮腫(むくみ)が起こっている状態をいいます。
「MRIで白く映る部分=骨の中の炎症(BML)」
「痛みの根本は、骨の“中”にあります。」
MRI(磁気共鳴画像)で白く映る部分として発見されることが多く、骨折のように完全に折れてはいませんが、骨の中に微細なダメージがあることを示します。
ガイドラインでも、BMLは変形性膝関節症(OA)の痛みの主要因であり、病気の進行と強く関係していると記されています。
🔬 学術的背景:軟骨下骨の変化が「痛み」を生む
近年の研究では、膝の痛みは単なる「軟骨のすり減り」ではなく、軟骨の下の骨(軟骨下骨)の変化やBMLの存在が主な要因であると分かっています
変形性膝関節症診療ガイドライン2023では、
「骨髄病変は変形性膝関節症における疼痛および構造変化の進行に関連する。」と記されており、学術的にも確立した概念です。
上のイラストの赤い部分がBMLで関節表面の軟骨の下、体重や関節をささえる土台の部分になります。この部位に損傷があり、痛みを生じます。
BMLは、さまざまな原因で起こります。代表的なものは次の通りです。
これらにより骨の中で炎症や浮腫が起こり、痛みの原因となります。
MRIで白く見える部分の内部では、次のような変化が起きています:
これらが骨膜や神経終末を刺激し、慢性的な膝の痛みを生じます。
最近の研究では、関節の痛みの多くが軟骨ではなく骨の中(骨髄病変)から生じていることがわかってきました。
つまり、「軟骨がすり減って痛い」というよりも、その下の骨が炎症を起こしている場合が多いのです。
疼痛のある変形性膝関節症では8割の方にBMLが存在しているという報告があります。
BMLはOAの「前触れ」として出現することが多く、
骨の中で「壊れ→炎症→修復→硬化」のサイクルを繰り返します。
変形性膝関節症(OA)は進行とともに軟骨がすり減りますが、BMLはその前段階や進行期の両方で見られます。
つまり、BMLは「骨がまだ修復可能なサイン」でもあります。この段階での治療介入が非常に重要です。
このため、BMLを適切に治療することが、関節の痛みを根本的に改善する重要なポイントになります。
症状や重症度により、治療法は段階的に選ばれます。
🩺 保存療法(軽症~中等症)
💉 再生医療・手術療法(中等症~重症)
保存療法で改善しない場合、骨内部の修復を促す治療を行います。
iPSエクソソーム・成長因子・β-TCP人工骨を注入し、
BML、骨壊死部や浮腫、傷んだ部分の再生を促進します。
関節の土台を修復するRejoint surgery に加えて、関節内にTOPs幹細胞を注射する治療方法です。
関節の中から、外から、トータルに治療を行う、現在考えられる理想的な治療の一つです。
BML(骨髄病変)は、レントゲンでは見逃されやすい「骨の中の痛みの原因」です。
変形性膝関節症では8割の患者さんにBMLがあるとされ、関節内の注射のみでは治療が困難な場合が多いと考えられています。
しかし、早期に発見し、再生医療などで治療することで、痛みを改善し、人工関節手術を回避できる可能性があります。
関節の痛みが長引く場合は、MRIで骨の状態を詳しく調べてみましょう。
注意点・リスク
• 手術部位の腫れや違和感が一時的に出る場合があります
• BMLの範囲が広い場合は、改善が限定的となることがあります
• 感染や骨折などの合併症は稀ですが、術後に十分に評価を行います